お肌のケアは基礎化粧品による物のように外から行う事と思われる方が多いかと思います。
実際、外からのケアも重要になります。
乾燥肌を防ぐ、という為には外部からのケアを意識される方が多いでしょう。
化粧水による保湿や、バリア機能の保護の為の洗顔の仕方等も重要な要素です。
しかしながら、
「顔は心と体を映し出す鏡」
です。
お顔に限りませんが、お肌には体の中の状態が現れます。
例えば、便秘がちだと捨てる物を捨てきれずに肌から無理矢理出してしまい、
お肌が荒れる、などという事を経験された方も多いかと思います。
やはり、真の美しさは健康から。
内側からのお肌のケアも大切です。
今日は内側からのケアについてお話します。
腸内環境とお肌の関係
内側から入れる…となると手軽なのは口から入れる事=食事でしょうか。
バランスの悪い食事を摂る事によって、栄養に偏りが出ます。
栄養の偏りはお身体のトラブルの原因となるのはもちろん、お肌の状態にも影響します。
なぜなら、栄養の偏りは「腸内環境」の悪化を引き起こすからです。
腸内環境とは、腸の中に住む腸内細菌のバランスの事を言います。
腸内細菌には、身体に良い影響を与える善玉菌、悪影響の悪玉菌、その時々で変化する日和見菌の三種類が有ります。
ビフィズス菌などの善玉菌が多い時には悪玉菌の増加を抑え、ちょうどよいバランスを保っています。
この状態が良い腸内環境です。
逆に、善玉菌が少なくなり悪玉菌が増えてしまう事で腸内環境は悪化した状態になります。
このような状態では便秘や下痢などのトラブルを引き起こします。
このように、腸内環境の悪化は便秘の原因となる一方、便秘がちであるとさらに腸内環境は悪化します。
では、この腸内環境が、なぜお肌に影響するのでしょうか?
悪玉菌が多い状態では、悪玉菌の代謝産物であるフェノール類が腸内に増加します。
それが体内に吸収されると血液を介して皮膚に蓄積します。
そうなると皮膚のターンオーバーが正常に働かなくなり、くすみや乾燥肌などのトラブルの原因となってしまうのです。
腸内環境を整えるためには?
ビフィズス菌などの善玉菌を摂取する事で腸内環境が整います。
また、ビフィズス菌が腸の蠕動運動を促進するのでお通じも良くなります。
腸内環境を悪化させるものとして注意しなければならない物は「白砂糖」です。
砂糖の多いお菓子や清涼飲料などを摂取すると白砂糖は胃の中で糖反射という反応を起こします。
これにより、胃液の分泌が止まったり蠕動運動が遅くなったりといった事が起こります。
胃腸の働きが悪くなると食べたものは腸の中で長い時間とどまる事になります。
こうなると悪玉菌が増殖しやすくなります。
糖質は血液の粘度を高くしてしまい、血行が悪くなるとお肌の代謝が低下し、血色が悪くなりくすみの原因にもなります。
悪玉菌は肉が好物ですので、肉食に偏るとさらに悪玉菌が増殖しやすくなります。
肉料理の後のデザートで甘いものを頂く…なんて流れは特に悪玉菌を増加させ、腸内環境を悪化させる恐れがあります。
お肌=脳?
腸内環境はお肌に限らず、体にとってとても重要な事です。
人体の中で最も神経細胞が多いところは脳ですが、
実は、腸はその次に神経細胞が多く存在しています。
その為、腸は「第二の脳」と呼ばれます。
実際に、腸は脳から指令を受けて働くだけでなく、独立して働く事も出来るのです。
また、脳の働きと腸内環境は非常に強い関係があります。
これを「脳腸相関」と呼びます。
ストレスを受けると脳がそれを感じ取り、便秘や下痢などの消化器系のトラブルにつながります。
これとは逆に、腸内環境が悪化すると脳は不安やストレスを感じてしまうという現象が起こります。
腸内環境と脳との密接な関係は人間の身体が正常に働くために重要な要素なのです。
もう一つ、ストレスの影響を大きく受けるものと言えば「肌」。
お肌は体の内側と外側の境界線に当たります。
内側にストレスをため込み過ぎると境界線であるお肌にニキビや肌荒れなどのトラブルとして現れます。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
実は、腸に続いて肌は「第三の脳」と呼ばれているのです。
(肌を「第二の脳」と呼ぶこともあります)
それだけ肌も脳と密接な関係があるという事です。
それは受精卵から体が出来上がるまでの流れに関係があります。
受精卵は細胞分裂を繰り返し、「胞胚(ほうはい)」と呼ばれるものを作ります。
その後、外胚葉、内胚葉、中胚葉の三種類へと分かれます。
これら三つの胚葉は成長すると
外胚葉…神経系、皮膚、感覚器等
中胚葉…骨格、筋肉、血管等
内胚葉…消化器、呼吸器の上皮
つまり、
外胚葉…外から触れる物
中胚葉…人体の内部
内胚葉…体内を通る管の壁
と言う事になります。
発生学的に同じものから出来ている脳や神経と皮膚には密接な関係があるのです。
皮膚はまだしも、なぜ体内にある脳や神経が外胚葉から出来ているのか?と思われた方もいらっしゃるでしょう。
細胞分裂を繰り返して受精卵が成長すると、外側の一部がくぼんで、体内に入ります。
その時に体内に入った外胚葉が成長して脳や神経に育つのです。
絵にするとこんな感じです。
同じところから生まれた脳と皮膚は密接に関係します。
脳と腸と皮膚、この三つは非常に密接に関係しあっています。
「顔は心と体を映し出す鏡」
体内の状態(脳と腸)と密接に関係して表面に現れているのが皮膚。
それを良い状態に保つには外からのケアも必要ですが、ストレスを解消したり、
食生活を見直して腸内環境を整えたり、という内側からのケアが非常に大切であるという事をご理解いただけたでしょうか?