先日放送されたNHK「ガッテン!」のテーマは肩こり、首こりでした。
こりの本当の原因とは?
肩こりと首こりは違う?
皆さんの悩みでもとても多い首、肩こりについて番組の内容も含めてご紹介させていただきます。
「肩こり」は日本人だけのもの?
先日、ブログで紹介させていただいた内容でもあるのですが
外国人は肩がこらない?という話はよくありますが、今では英語でも
”stiff neck”、”stiff shoulder”などの首こり、肩こりを表現する言葉があります。
肩こりは日本人だけのものではなく、外国の方も感じるということです。
しかも、外国の方のほうが首のこりと肩のこりを区別して考えているようです。
日本人は首でも肩でも「肩こり」と呼んでしまうことが多いですね。
大きな「僧帽筋」のコリ
どうして首肩のこりを一緒にしてしまうのかといえば、首から肩、背中にかけて大きな「僧帽筋」がこりの原因の一つだからではないでしょうか?
後頭部から背中にかけて始まり、肩甲骨に終わる僧帽筋は背中の表面を覆うような形で存在する大きな筋肉です。
肩甲骨を動かしたり支えたりといった働きがあり、姿勢にも関係するので悪い姿勢でいると負担が大きく、肩こりの原因の一つです。
大きな筋肉なので広い範囲でコリを感じるため、首でも肩でも同じ「コリ」としてとらえてしまいがちです。
首こりの原因になる筋肉とは!
番組で「首コリ」の原因についてお話していただいたのは東京大学医学部付属病院の粕谷大智先生です。
全てが「肩こり」なのではなく、「首こり」の場合には肩こりと同じ対処ではよくなりません。
首こりの原因は「後頭下筋群」です。
後頭部と首をつないで、頭を支えるのに重要な役割を持つ後頭下筋群。
小さな筋肉なのでそれほど大きな力を発揮するわけではありませんが、頭を支えるのに常に働いており、こりやすい筋肉でもあります。
番組で首こりの原因として紹介された二つのうちの一つ、「姿勢」に大きくかかわる筋肉です。
姿勢が悪いと頭を支える為に負担がかかる筋肉なのでコリの原因になります。
ではよい姿勢をとればよいのか?
バレエをしている方の首コリも番組で取り上げられていました。
バレエをする人は姿勢が良いのに何故…?と思われたかもしれませんが、実は無理に背筋を伸ばそうとするのも首に負担がかかってしまいます。
顎を引いたままの姿勢になると後頭下筋群に負担がかかるからです。
首の骨である頸椎はゆるやかにカーブを描くのが正しい形ですが、それがまっすぐになってしまう「ストレートネック」という状態があります。
見た目はきれいですが、首にかかる負担が非常に大きい姿勢です。
このストレートネックの原因は一つには不良姿勢、そしてもう一つが無理に背筋を伸ばそうとする事です。
不良姿勢でも、良すぎる姿勢でもよくないとは…何事も「ちょうどよい」のが一番ですね。
「鍼の深さ」が治療の違い?
粕谷先生が首コリ、肩こりに悩む方へ鍼をするところが紹介されていましたが、首と肩の治療の違いとして鍼の深さが取り上げられていました。
肩こりの大きな原因である僧帽筋は体の表面の近くにあるので鍼を浅く入れ、首こりの原因である後頭下筋群はもっと深いところにあるので鍼を深く入れるということです。
鍼の刺激量を決める要因の一つが「鍼の深さ」です。
では、強い刺激をするために深くすればよいのでしょうか?
実際、肩こりで僧帽筋を狙うとする時、深い鍼をしても浅いところにある僧帽筋には刺激をすることができます。
しかし、肩の場合にはむやみに深い鍼をするとその下にある肺にあたってしまう恐れがあります。
どこを刺激したいのか?という事に合わせて適切な深さで鍼をすることは重要なポイントになります。
なぜ「目」が関係するのか?
首こりの原因二つの一つは姿勢でした。
そして、もう一つは「目」です。
実際、首こりの原因となる後頭下筋群がある後頭部と背骨の境目のあたりの部位は肩こりにも目の症状にも重要な部位です。
この二つに「頭痛」を合わせて、「肩こり」「頭痛」「目の疲れ」という三つは非常に深い関係があります。
例えば、この三つの内の二つが、あるいは三つすべてが同時に現れるということはよくあります。
筋肉の緊張でコリがあり、そうなるとそこを通って頭へ行く神経を刺激してしまい、頭痛として現れます。
そこになぜ目が関係するかというと…?
目の動きと関係するのが後頭下筋群だからなのです!
何かを見るときに目が動きますが、この時目を動かす筋肉と一緒に緊張するのが後頭下筋群なのです。
イメージしてみてください。
スマホを見る時、背中を丸めて目を酷使して画面を見ていませんか?
背中を丸めていると頭が前方へと出てしまい、それを支えるために後頭下筋群に負担がかかります。
さらに画面を追いかけて目が激しく動くと、さらに後頭下筋群の緊張が強くなってしまうのです。
こんな感じでパソコンやスマホを長時間使用していると、見事な首コリができてしまうという訳です。
首こりを解消するには?
首のこりを解消するには鍼も良いです。
でも、自分で何とかしたい時には…?
番組で紹介されていたセルフケアのエクササイズを紹介させていただきます。
1・イヤイヤ運動
首を左右にゆっくり「いやいや」とするように振ります。
この時、目は閉じて行います。
20往復で1セットとします。
2・うなずき運動
その名の通りうなずく動作で首を前後にゆっくりと動かします。
20回を1セットとします。
3・アゴ引き運動
顎を引くようにして後頭部を伸ばし、3秒間ストレッチします。
その後緩めてリラックスします。
この動きを10回で1セットです。
この三つの運動をそれぞれ一日3セット行います。
筋肉はじっと緊張していても、使いすぎてしまっても、緊張が強くなり血流が悪くなります。
適度に筋肉を動かしてあげることで筋肉のポンプ作用により血流がよくなります。
そしてストレッチすることで硬さを取り、さらに血流をよくしてあげるのですね。
これらの運動は寝て行うとさらに効果が高まります。
起きている状態では頭を支えるために常に筋肉が緊張しているからです。
横になって頭を重力から解放してあげると筋肉の負担が減り、さらに緊張が取れやすくなります。
例えば、ちょっと肩をもんだり、肩たたきをしたりといった時には座ってやることが多いと思いますが、こんな時でも横になって行うと筋肉の緊張がなくなり、さらに効果が高まりますよ。
まとめ
首のこりも肩のこりも同じようなものとして考えてしまいがちですが、実は別物。
原因となる筋肉も違います。
何が原因か?を考えるのは大切です。
お悩みにあった対策が必要です。
なかなか良くならないお悩みは一度当院までご相談ください。
さて、次回の「ガッテン!」は2月20日水曜日19時30分から放送です。
テーマは
「慢性痛しびれが改善!逆子も治る!?東洋の神秘「はり治療」SP」
です!
この回は鍼がメインです、ぜひご覧くださいね!
※関連記事
筋トレのススメ~肩こりを改善してフェイスラインをスッキリする~
外国人は肩がこらない=肩こりが無い、だったが今では「こり」を表す言葉もあり、英語でも首のコリを”stiff neck”、肩のコリを”stiff shoulder”と表現するとご紹介させていただきました。
つまり、肩がこるというのは日本人特有のものでは無く、外国の方でもこるのですが、首・肩のコリ、と大きくとらえている日本人と違い、首と肩のコリをはっきりと分けて考えているようです。
実際、日本人は首のあたりが辛くても「肩こり」と呼んでしまいがちです。
首から肩、背中を覆う「僧帽筋」
それがなぜかと言えば、一つには肩こりの大きな原因の一つである「僧帽筋」の存在が有るからです。
首から背中にかけて、背骨の棘突起に始まり、肩甲骨と鎖骨につながるこの筋肉は主に肩甲骨を動かしたり支えたりといった役割を果たしています。
姿勢を保つのにも大きな役割を果たしており、不良姿勢で大きな負担がかかると筋肉が緊張しやすく、肩こりの原因になります。
そして、首から背中にかけて大きく広がる筋肉なので、コリの辛さも広い範囲で感じる為、肩こりや首のこり、背中の張りなどの症状として感じてしまいます。
これが何でも「コリ」として一緒くたにしてしまう理由の一つと思われます。
真犯人はこの筋肉!
番組内で首コリの本当の原因についてお話してくださったのは東京大学医学部付属病院の粕谷大智先生です。
私も勉強会、学会等でお世話になっております。
肩こりだけでなく、首こりの場合もある。
そして、その原因は「後頭下筋群」です。
正直、私も患者さんに説明する時には
「この辺に細かい筋肉がいくつかあります~」
と、ざっくり流して話してしまう所ですが、非常に重要な筋肉でもあり、何より辛い症状の原因になってしまう筋でもあります。
筋肉の発揮する力は筋肉の太さ、大きさに比例し、大きな筋肉の方が強い力を発揮します。
後頭下筋群のように小さい筋肉は大きく体を動かす、というよりはバランスを保ったり姿勢を維持したりといった働きを持つことが多いです。
実際、後頭下筋群の主な役割は頭を支える事に有ります。
その為、番組内でも首こりの二つの原因の一つ目に紹介されていた「姿勢」が大きく関わってくるのです。
姿勢が悪いと頭を支える為に必要以上に負担がかかる事で緊張が強くなり、コリの原因になります。
そして、バレエをしている方の首コリの悩みも紹介されていましたが、バレエは良い姿勢を取るのに何故でしょう…?
バレエやダンスなどをされる方の中で、無理に良い姿勢を取ろうとし過ぎて首に負担がかかる場合が有ります。
アゴをひいて背筋を伸ばそうとするときに後頭下筋群に負担がかかるからです。
俗に言う「ストレートネック」に悩まされる方の原因は①姿勢不良、または②バレエなどで無理に良い姿勢をする、という二つのどちらかが多いです。
悪い姿勢も、良すぎる姿勢も…何事もほどほどがちょうど良いですね。
首のコリと肩のコリ、治療の違いは「鍼の深さ」?
番組内で粕谷先生が鍼の施術をされている所が放送されました。
首と肩のコリに対しての鍼の違いが「深さ」であると紹介されていました。
これは肩のコリの原因の一つ「僧帽筋」が体の表面(第一層)にあるのに対し、首のコリの原因である「後頭下筋群」が深い所(第三層)にあるからであり、どの筋肉を狙うかによって鍼の深さが変わるという事です。
深く差せば効果が高いという事でもなく、どこを狙うかによって異なる物であり、さらに言うと肩こりの場合に深く鍼をすれば当然表層にある僧帽筋に対しても刺激になりますが、その下にある肺に当たってしまう恐れがあります。
肺に鍼が当たれば「気胸」という状態を起こしてしまいます。
目と肩こりの関係
首と背骨の境目、後頭部の辺りは肩こりにとって非常に重要な箇所です。
「首・肩こり」「目の疲れ」「頭痛」の三つには深い関係が有り、この三つの内の二つないしは三つ全てが同時に症状として現れる事が多く有ります。
首・肩のこりは筋肉の緊張が強くなるから、そして筋緊張が強いとそこを通って頭へ行く神経が刺激され、それが頭痛として現れます。
それでは、目との関係とは…?
ここに関わるのがやはり「後頭下筋群」なのです。
目を動かすとその動きに合わせて後頭下筋群も緊張します。
例えば現代人にとって欠かせない物の一つ「スマートフォン」を使う時の事を考えてみましょう。
正しい姿勢で目の前にスマホを持って操作する、なんて方はあまりいないはず…
これはパソコンにも同じことが言えそう。
つまり、背中を丸めて頭が前に出てしまい、それを支える為に首に負担がかかる事と合わせて、目を酷使する事により後頭下筋群も緊張する事になり、見事な「首こり」が完成するという訳です。
首こりを解消するためのセルフケア
番組内で紹介されていた首コリを解消するためのエクササイズです。
1・イヤイヤ運動
目を閉じて首を小さな角度で左右にゆっくり動かします。
20往復で1セットとします。
2・うなずき運動
首の後ろを伸縮させるように少し上を向いてうなずきます。
20回を1セットとします。
3・アゴ引き運動
アゴをグーッと引くようにして首の後ろ側を3秒間伸ばし、その後緩めます。
これを10回で1セットとします。
三種類の運動を一日3セット行います。
筋肉は動かす事で血流が良くなります。
ただ、激しく動かしすぎても疲労が溜まります。
軽く動かして筋肉の収縮・弛緩を繰り返す事で血流を良くし、さらにストレッチすることによって筋肉の緊張を和らげてコリを解消するわけですね。
そして、番組最後に紹介されていた様にこれを寝て行う事でさらに効果が高まります。
立った姿勢や座った姿勢では頭の重さを支えなければならず、後頭下筋群を始め首回りの筋肉は緊張した状態にあります。
寝た姿勢を取る事により、頭にかかる重力から解放され、首回りの筋肉は緊張が和らぎ、その状態で運動を行う事でより効果が上がります。
一般の肩が肩たたき、肩もみなどをするときには座った状態でやる事が多いですが、実は横になってしまった方が筋肉の緊張が和らぐので楽に緩める事が出来ますよ。
まとめ
首のこりも肩のこりもざっくりと考えて同じものとしてとらえてしまいがちでした。
細かく見れば原因も異なる別の物。
どの筋肉に問題が有るのかを考えて対策をする事が重要です。
つらいお悩みは一度当院までご相談ください。
さて、次回2月20日水曜日19時30分から放送のNHK「ガッテン!」は
「慢性痛しびれが改善!逆子も治る!?東洋の神秘「はり治療」SP」
です!
こちらもお見逃しなく!
※関連記事
どうして日本人は「肩がこる」のか?
筋トレのススメ~肩こりを改善してフェイスラインをスッキリする~