「肩こりって感じた事ない」という方もいらっしゃいますが、

多くの方が悩まされたことがあると思われる「肩こり」。

当院に通われる方でも、肩こりが辛くて来院される方や、美容で通われる方でも肩こりにも悩んでいる方が多いです。

また、本当に良い状態で肩こりを感じない方もいれば、ひどすぎて逆に感じなくなってしまっているというケースもあります。

 

 

肩こりの原因

原因に着目して肩こりを分類すると

1 はっきりとした原因がある

2 はっきりとした原因がない

の二つに分けられます。

 

1 はっきりとした原因がある

ここで言う原因とは「疾患」と考えてください。

特に、首から肩にかけて直接関係する

・頚椎症

・頸椎椎間板ヘルニア

・頸部脊柱管狭窄症

などの疾患や、

・高血圧症

・心臓疾患

・肝臓障害

・胃腸障害

などの内臓からくる物もあります。

あまりに頑固で改善しない肩こりの場合、

「たかだか肩こりで…」

と考えずに、病院を受診した方が良い場合もあります。

 

2 はっきりとした原因がない

とはいえ、肩こり全てが重篤な疾患から起こるという訳ではありません。

原因がないというより、明確な疾患と関係がなく、病院で診てもらっても

「気のせいですね~」

で終わってしまう可能性が高いものです。

 

・姿勢の問題

姿勢で特に問題となるのが「猫背」です。

体重の約10%と言われる「頭」を支えるのに、寝ている時以外は首肩周りの筋肉が常に緊張して頑張っています。

この時、背中が丸く頭が前に出ることでさらに筋肉への負担が増えます。

立っている時の姿勢はもちろん、椅子に腰かけた時などについついだらしなく座ってしまいがち。

背骨は、は「頸椎」、胸は「胸椎」、腰は「腰椎」、骨盤は「仙椎」と名前が変わりますが、頸椎は少し前にカーブしているのが正常ですが、姿勢が悪いと「ストレートネック」と呼ばれる、まっすぐな状態になってしまい、こうなると余計に肩こりはひどくなります。

 

・運動不足

筋肉は動かせば血液の流れが良くなり、血流が良くなれば緊張も取れます。

動かしすぎて疲れる、というケースが無いわけではありませんが、多くは

「動かなさすぎ」

が原因です。

例えば、デスクワークや立ち仕事、車の運転時間が長いお仕事の方の場合などを考えてみます。

先ほど説明したように、頭を支えるために筋肉は緊張しています。

しかし、じっと動かず支えているので、筋肉は緊張するばかりで動かされていません。

その為、血液の流れやリンパの流れは悪くなり、さらに疲労は蓄積し、肩こりは悪化するのです

 

・目の疲れ

背骨の一番上になる「第一頸椎」と、頭の骨の「後頭骨」は関節を作り、

「後頭環椎関節」

と呼ばれます。

ここは、頭と首をつないでいる部分になります。

この関節は目との関係が深く、目の疲れが強かったりするとこのあたりが緊張します。

また、ここから「大後頭神経」「小後頭神経」と呼ばれる神経が後頭部にかけて走っており、筋緊張が起こる事により神経が刺激され頭痛が起こる場合があります。

肩こり、目の疲れ、頭痛の三つは複雑に絡み合い、同時にこの三つに悩まされる方も少なくありません

 

・ストレス

「ストレス社会」と言われる現代、仕事が忙しい、人間関係、等々の理由によりストレスを過剰に受けている方が多いです。

ストレスが全くなくてもよくありませんが、多すぎると自律神経のバランスが乱れ、交感神経優位になることで全身の血流が悪くなり、筋肉は緊張します。

人間の体の不調は根本的な原因を無くせば良くなるものですが、ストレスの原因は簡単に無くなるものではなく、常に辛さを感じている方が多いです。

 

気になる「美容」と「肩こり」の関係とは?

肩こりが美容にもたらす影響は大きく分けて二つあります

 

1 筋緊張が直接起こすもの

頸部の筋肉が緊張することにより、お顔に直接影響します。

頸部の前側の筋肉は直接お顔につながり、後側の筋肉は頭皮を通じてやはりお顔につながります。

顔を直接引っ張るような形になり、たるみやむくみにつながります

また、筋緊張の左右差はそのままお顔の左右のバランスの崩れにもつながります。

 

2 血液・リンパの流れを妨げ起こるもの

血液循環やリンパの流れが悪くなることにより、お顔に必要な栄養素や酸素などが隅々まで行き渡らず、体外へ排出すべき老廃物も流しだせずにたまっていきます。

排出しきれないものは肌から無理に外へ出そうとして、肌荒れの原因になります。

また、血液循環が悪いと血色が悪くなり、お顔はくすんで見えるようになり、透明感が無くなってしまいます

 

 

 

 

肩こりの対策

何かしらの疾患が原因でおこるものはそれらの治療が必要です。

そうでないものの場合、どれか一つだけが原因になっているというより様々な要因が重なり合っていることが多いです。

1 適度な運動

特にお勧めしたいのは「適度な運動」です。

運動不足の方であれば、軽くウォーキングしたり、家でストレッチをするだけでも十分な運動になります。

体を動かすことで血流も良くなり筋緊張がほぐれるだけでなく、ストレスの発散にもなります。

手軽に出来る体操を後でご紹介します。

 

2 入浴

体を温めてリラックスすることで自律神経のバランスも整い、血行が改善する事で筋緊張も緩和します。

気を付けるべき事はお湯の温度です。

38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。

朝、起きた時に体をシャキッとさせたいときは熱めのお湯の方が効果的ですが、リラックスしたいときには逆効果になってしまいます。

寝る一時間前くらいに入浴を済ませればちょうど寝つきも良くなり睡眠の質も上がります。

 

3 視力矯正

視力が悪い人はお気を付けください。

眼鏡の度が合っていないと目が疲れやすく、肩がこりやすくなります。

同じ眼鏡を長い事使っているという方は一度検眼をしてみるのも良いです。

眼鏡を変えただけで肩がこらなくなったという方も結構いらっしゃいます。

 

 

 

 

効果的な運動

ご家庭や職場でもちょっとした時間で出来る肩こりに効果的な運動をご紹介します。

 

肩甲骨回し

肩こりが気になる時に、腕をぐるぐると回したりしがちですが、動かさないよりは良いですがあまり効果的とは言えません。

特に動かしたいのは「肩甲骨」です。

肩がこる、という時につらい筋肉は解剖学的には

「僧帽筋」

「肩甲挙筋」

が中心です。

この二つは「頸椎」そして「肩甲骨」に付着しています。

つまり、肩甲骨を大きく動かすことにより、この二つの筋肉も伸縮することになります。

腕を回すと少しは動くのですが、もっと効率よく動かすために以下のようにやってみてください。

 

1 手で衣服の襟をつまむ。襟がなければ肩の辺りに手を置く。

2 肘を意識して後方へ5~10回回す

3 次に、前方へ5~10回回す

これだけでOKです!

注意点としては、肘が体の後方へ行く時には肩甲骨を寄せる事を意識、逆に前方に肘が来る時には肩甲骨が離れるように意識しましょう

リラックスして行っていただきたいので、つらかったら回数は少なくてもかまいません。

職場でずっとパソコンに向かっていて首肩周りが辛くなってきた…なんて時にも数回回すだけでもスッキリしますよ!

 

まとめ

肩こりは疾患からくるもの以外ははっきりとした原因が無く、生活習慣なども大きくかかわってくるので根本から原因を取り除く事が難しいです。

肩こりを放置していると血行不良など全身への影響が出てきて肩こり自体が不調の原因になってしまいます。

それでも、ちょっとした取り組みで改善し、快適な生活を送る事が出来るようになるだけでなく、美容が気になる方にもうれしい効果が沢山です。

運動かあ…とためらってしまう方でも、まずは気軽に肩を回してみるところから始めてみてはいかがでしょうか?