冬には空気が乾燥するので、お肌も乾燥しがちです。
しかし、乾燥肌の原因は空気の乾燥だけではありません。
そこに関わっているのはお肌のバリア機能です。
肌のバリア機能とは?
皮膚は人間の体で最大の臓器です。
全身を覆って外からの刺激や異物の侵入から体を守り、体内の水分の蒸発を防ぐという役割があります。
この役割を担っているのが角質層のバリア機能です。
角質細胞とは?
人間の皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっています。
一番外側の表皮はさらに角質層、顆粒層。有棘層、基底層の四層に分かれています。
一番深い所にある基底層では細胞分裂が活発に行われ、分裂して出来た細胞は成長しながら外側へと押し出されていきます。
最終的に核を失って死んだ細胞はケラチンと呼ばれるたんぱく質を含んだ固い細胞になります。
これが角質細胞です。
角質層で働く三つのバリア機能
皮脂膜
皮脂膜とは、皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗が混ざって出来る、言うならば天然のクリームです。
人間の体温である35~36℃くらいで溶け、お肌に広がって薄い膜を構成します。
皮脂膜が無いと肌は無防備な状態になり、お肌の水分は蒸発して乾燥肌になりやすくなります。
皮脂膜が表面を覆っている事でお肌が守られているのです。
皮脂膜は角質層を守って保水構造を保つ役割もありお肌の滑らかさを保つ働きも有ります。
角質細胞間脂質
角質細胞層はよくレンガの壁に例えられます。
角質細胞をレンガとするなら、間を埋めているセメントが角質細胞間脂質です。
角質細胞間脂質は水と油が交互に重なった緻密な構造をしており、ラメラ構造と呼ばれます。
このラメラ構造が体の水分が外へ蒸発してしまうのを防ぐ役割を持っています。
細胞間脂質のおよそ半分はセラミド、残りはコレステロールや遊離脂肪酸などから成っています。
天然保湿因子
天然保湿因子(NMF(Natural Moisturizing Factor)とは、角質層に存在して水分を保持する働きのある成分の事です。
診ずと馴染みが良く水分を抱え込む成分で、これは単一の成分ではなく総称であり、アミノ酸、尿素、グリセリン、ヒアルロン酸、コラーゲンなどがあります。
加齢によって天然保湿因子が減少し、バリア機能の低下につながります。
バリア機能が低下してしまう理由
三つのバリア機能がバランスの良い状態を保っていると肌理細やかな美しい肌をキープできます。
しかしながら、さまざまな理由により働きが低下し、お肌を守る事が出来なくなると肌トラブルの原因になってしまいます。
その原因は内的な物と外的な物とに分類できます。
内的な原因
お肌は心と体を映し出す鏡、身体の状態が現れます。
お身体の健康無くして美しいお肌は手に入りません。
不規則な生活、偏った食生活、過剰なストレスなどにより、自律神経やホルモンバランスが乱れ、バリア機能が低下します。
過剰なストレスや不規則な生活により体は緊張状態になりやすく、交感神経優位の状態が続くと皮脂の分泌が増加します。
皮脂が多くなると顔のテカリやべた付きが気になるようになります。
べた付くのでわかりにくいですが、脂が多すぎても水と脂のバランスが崩れてお肌は乾燥などのトラブルが起こりやすくなります。
脂が少なくても皮脂膜が不足してしまい、バリア機能が低下してお肌を守れなくなります。
食事で良質な脂や、お肌の材料となるタンパク質を摂取する事も大切な事です。
外的な原因
紫外線の刺激や空調による乾燥など、お肌を外から刺激する物は沢山あります。
意外に多いのは、お肌に良かれと思ってやっているスキンケアの誤り。
清潔な状態を保つために、と洗い過ぎてしまうと大切な皮脂膜が流されてしまい、お肌を守る事が出来ません。
ゴシゴシとこするような洗顔が良くないのはもちろんですが、大切なのは洗顔する時のお湯の温度。
温度が高いと皮脂膜が溶けやすくなり、洗顔して流れ落ちやすくなります。
適温なのは温かいとも冷たいとも感じないぬるま湯です。
入浴時に洗顔する時には、シャワーのお湯を直接かけるのは避けましょう。
シャワーの水圧で皮脂膜が落ちやすくなります。
冬にお肌が乾燥しやすい本当の理由とは?
冬になると空気が乾燥します。
外的な原因となる空気の乾燥でお肌の水分が取られやすくなり、お肌が乾燥しやすくなります。
しかし、冬の乾燥肌の原因はそればかりではありません。
皮脂膜の不足
皮脂膜は皮脂と汗が混ざって作られる天然のクリームです。
皮脂の分泌だけでなく、汗が出る事も大切です。
冬は気温の低下と共に汗の量も減ります。
汗が少ないと作られる皮脂膜も少なくなり、バリア機能が低下してしまうのです。
グリセリンの不足
天然保湿因子の一つであるグリセリンは皮膚で作られます。
皮膚にある表皮ブドウ球菌が皮脂を分解してグリセリンが出来ます。
表皮ブドウ球菌が活発に働くためには温度と湿度が重要な要素です。
空気が乾いて、温度が低く皮膚が冷えた状態ではグ表皮ブドウ球菌の働きが悪くなり、グリセリンが不足してしまい、バリア機能の低下につながります。