衣笠仲通鍼灸接骨院、院長の加藤宏です。

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肌のバリア機能とは?

私たちの身体の表面にあるのは皮膚です。
皮膚は人体最大の臓器、そして最大の免疫機構です。

体の内側と外側の境界線である皮膚は、外からの刺激や異物の侵入から身を守り、体内からの水分の蒸発を防ぐバリア機能があります。
このバリア機能の役割を担っているのが角質層です。
わずか0.01~0.02㎜の厚さしかない角質層でどのように身体を守っているのでしょうか?

バリア機能とは?

具体的にバリア機能とは、

天然保湿因子(NMF)
細胞間脂質
皮脂膜
の三つを指します。

天然保湿因子
皮膚の構造は外側から表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっています。
表皮はさらに外側から角質層、顆粒層、有棘層、基底層の四層に分かれます。
皮膚の一番外側で身体を守っているのが角質層になります。

角質層の角質細胞内にあるのが天然保湿因子です。
約半分はアミノ酸からできており、水分を含んで保持する役割があります。
お肌が潤う為に重要な役割を持ちます。

細胞間脂質
角質層の角質細胞の間をつなぐのが細胞間脂質です。
セラミドやコレステロール、遊離脂肪酸などが含まれます。
これらの脂質が角質細胞の間をしっかりと埋めて水分を保持する役割を果たしています。
角質細胞をレンガとするならば、細胞間脂質はセメントに例えられます。

皮脂膜
角質層の表面を覆っているのが皮脂膜です。
汗腺から分泌される汗と、皮脂腺から分泌される皮脂が混ざって出来ています。
皮脂に含まれている脂肪酸や脂肪酸エステルが天然の界面活性剤として汗と皮脂を乳化させることによって作られます。
「天然のクリーム」と呼ばれ、水分の蒸発を防ぎます。

 

皮膚の常在菌の役割

菌と言うとなんとなく悪いイメージを持ってしまう方も多いかもしれませんが、悪い物ばかりではありません。
身体には常在細菌と呼ばれる菌があり、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の三つが有ります。
善玉菌は良い働きを、悪玉菌は悪い働きを、日和見菌はその時に応じて良い方か悪い方かに変ります。
健康状態には常在細菌の役割が重要であり、腸内細菌が注目されていますが、皮膚の常在菌も非常に重要でバリア機能の一つと言えます。

表皮ブドウ球菌は汗や皮脂をエサにしてグリセリンや脂肪酸を作り、お肌を弱酸性に保つ働きがあります。
お肌がアルカリ性になると病原菌が増殖するので、それを防いでくれます。

毛穴に存在するアクネ菌はニキビの原因として知られていますが、普段は皮脂をエサにしてプロピオン酸や脂肪酸を作りお肌を弱酸性に保つ働きをしています。
ところが毛穴が詰まってしまったり皮脂の分泌が多くなりすぎたりする事でアクネ菌が増えすぎてしまうとお肌に炎症を起こし、ニキビが出来てしまうのです。

黄色ブドウ球菌も常にお肌に存在していますが通常は問題を起こしません。
ところがお肌がアルカリ性に傾くと活発に働き、炎症やかゆみなどの肌トラブルを起こします。

これらの常在細菌にとって大切な事はそれぞれのバランスです。

このバランスが崩れると悪玉菌が増殖しトラブルの原因になります。
バランスを保つには善玉菌の働きが必要で例えば過剰に洗顔や長時間の入浴、角質を落としすぎてしまう等によって角質層に存在する表皮ブドウ菌が減り過ぎるとアルカリ性に傾き、お肌の状態が悪くなってしまいます。

 

バリア機能が低下すると?


お肌は常に細胞が入れ替わり続けています。
これをターンオーバーと呼びます。
細胞が入れ替わり、新しい角質層を作っていますので、ターンオーバーの乱れは角質層の状態の乱れにつながり、バリア機能が低下する原因の一つになります。

バリア機能が低下した状態では、外部からの刺激をもろに受けてしまい、さらに水分を保持できずお肌が乾燥してしまいます。
乾燥肌、敏感肌などと言われる状態です。
天然保湿因子も不足してお肌に潤いが無く、角質細胞の間に隙間が出来てしまい、皮脂膜が防ぐこともできないので水分は逃げてしまいます。

バリア機能を低下させない為には?

お肌を守るバリア機能を維持するためにはどうすれば良いでしょうか?

正しいスキンケア
お肌を清潔に保つことは大切な事ですが、洗い過ぎは禁物です。
常在細菌のバランスを崩したり、角質層を落としすぎたりといった事につながります。
回数もそうですが洗顔時にごしごしとこする様に洗うと角質を落としすぎてしまいます。
洗顔時は泡立てた洗顔料でこすらず優しく洗いましょう。
お湯の温度が高すぎるとお肌の保湿成分を奪ってしまいますので、熱くも冷たくも無いと感じる程度のぬるま湯で洗う事が理想です。

すぐに保湿
洗顔後や入浴後は十分にお肌が潤っていますが、そのままにしておくと水分はどんどん蒸発して角質層の水分も摂られてしまい乾燥してしまいます。
できるだけ早く保湿をしてあげましょう。

紫外線対策は十分に
紫外線によるダメージは日焼けだけでなくバリア機能を低下させる事にもなります。
紫外線は一年中地上まで届いている物ですので、季節を問わず紫外線対策は必要。
ですが春から夏にかけては特に紫外線量が増加する時期です。
日焼け止めを忘れずに!

お肌を刺激しない
スキンケアの所の洗顔のお話ともかぶりますが、お肌を摩擦するとお肌に負担を掛け、バリア機能が低下します。
洗顔以外でも目が疲れた時にまぶたをこすってしまう動作はお肌を痛めます。
春ですと花粉症で目がかゆくなりこすってしまう事も。
目回りが黒ずんでしまう事があるのはこする事が原因の場合が多いです。

まとめ

バリア機能の低下はあらゆる肌トラブルの原因になります。
お肌に負担をかけすぎないスキンケア、紫外線の刺激からお肌を守り、そしてとにかく保湿!
日頃のケアで追いつかない方は一度当院までご相談ください。

 

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